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マンションの建築着工と契約の解除について
事例

これから建築に着工するというマンションAを,モデルルームを見て気に入ったので買うことにし,マンション販売業者とマンション売買契約を結びました(価格は3000万円です)。そして,手付金として150万円を支払いました。
 ところが,その後売り出した別のマンションBが気に入り,手付金を放棄するからマンションAの売買契約を解約したいと販売業者に申入れたのですが,「もう建築に着工してしまっているから解約には応じられない。どうしても解約するなら手付金の放棄ではなく,違約金として売買代金額の2割(600万円)を支払ってもらいます」と言われました。
 この業者のいうように,建築に着工してしまうと,手付金放棄による解約はできないのでしょうか。

 
対応

 買主が手付放棄によって売買契約を解除できるのは,売主が履行に着手するまでですが,マンションの場合によく問題になるのは,売買契約後,売主がマンションの建築に着工した場合,それによって売主は履行に着手したといえるかどうかです。

 この点は,一般的に以下のように考えられています。
 すなわち,建築工事の着工が売買契約の成立を理由として行われた場合は,着工によって履行の着手ありといえるが,建築工事の着工が売買契約の成立と直接の関係がない場合は,着工があっても履行の着手はないとされています。

【ケース@】
 一般的なマンション分譲の場合は,買主が売主(マンション販売業者)と売買契約をしようとしまいと,マンション建築計画にしたがって,マンションの専有部分や共用部分は建築されて行きます。したがって,この場合は,建築工事の着工と売買契約の成立とは直接の関係がないということになり,着工があっても履行の着手はないということになります。
 したがって,買主はマンション建築が相当程度進んでいても,手付流しによって売買契約を解除できます。

【ケースA】
 これに対し,買主が間取りや内装などのいくつかプランを提示し,そのプランの中から売主が特定のプランを選び、それにしたがって,買主が購入する予定の専有部分の工事が始まったという場合はどうでしょうか。この部分の建築工事の着工は,買主と売主との売買契約の成立を理由として始まったわけですから,着工によって履行の着手があり,買主は手付放棄によっては売買契約を解除できなくなります(つまり,違約金の支払いが必要になります)。

 ご質問の場合も,ケース@の場合なのかケースAの場合なのかによって,手付放棄による解約が認められるかどうかの結論は違ってきます。

 また,上記は建築の着工が履行の着手になるかどうかという点ですが,この他に,マンション分譲業者が買主のために何らかの仮登記をしたとか,その他,履行の着手になるような何らかの行為をしている場合は、それによって履行の着手ありとされることもないとはいえませんから,手付金を払った後は,ただ建築が行われているだけなのか,何らかの別の事情があったかどうかも確認しておくとよいと思います。(森田)

 



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