1 あなたがマンションを買った時に売買の仲介をした仲介業者には、宅地建物取引業法に定められている重要事項について説明義務があります。
そして、この重要事項には、あなたがマンションを買った時点で、すでに積み立てられている修繕積立金の金額、修繕積立金に滞納がある場合はその滞納額、が含まれますから、仲介業者がこれらの説明をしなかったとすると、仲介業者には説明義務違反があることになります。このような場合、仲介業者は、県知事などから、業務の全部または一部の停止を命じられることがあります。
また、修繕積立金の残額がゼロという事実によって、マンションの価格が下がったことが立証できれば、仲介業者に対して損害賠償請求をすることができます。
仲介業者に賠償に応じるだけの資力がない場合は、宅地建物取引業保証協会というところが、いわゆる弁済業務といって、仲介業者に代わって損害賠償をしてくれます(ただし、いくつかの細かい条件がありますが)。
2 次に、売主に何らかの請求ができるかということですが、修繕積立金がゼロということは、売買の目的物であるマンションに瑕疵(欠陥)があるといってもよいかもしれません。
瑕疵がある場合は、売主に対して瑕疵担保責任を追及することができます。責任の内容は、原則として残額がゼロであることによるマンションの価格下落分ですが、売買をした目的を達成することができないという場合は、売買契約を解除することもできます。
また、瑕疵担保責任は、原則として瑕疵を知った時点(修繕積立金の残額ゼロとわかって時点)から1年以内に権利主張をしなければなりません。ただし、この点は売買契約書に別の定めがあれば契約書の定めによります。ご質問の場合、98年4月に購入してすぐに残額ゼロであることに気づいたとのことですから、瑕疵担保責任を主張する期間がすでに過ぎてしまっている可能性があります。
3 売主が、修繕積立金の残額ゼロであることを隠してあなたにマンションを売却したことが立証できれば、(民法上の)詐欺を主張して、売買契約を取り消すということも考えられます。
また、修繕積立金の残高ゼロならマンションを購入することはなかったという事情があれば、錯誤を理由に売買契約の無効を主張することも考えられますが、そのためには、残高ゼロならマンションを購入することはないということが、売主に表示されていなければならないので、この点は難しいかもしれなません。
4 未払いの区分所有者がいるため修繕積立金がゼロになっているという事情がある場合は、その区分所有者から修繕積立金などの未払い管理費を取り立てることもできます。すなわち、未払い管理費などの債権は、未払い区分所有者の区分所有権、あるいは建物に備え付けた動産に対して、先取特権という担保権を有しているので、この担保権にもとづいて、未払い区分所有者の持っている動産、区分所有権を競売するのです。(森田)